フルタイムで働く方は、毎月の給料から社会保険料を控除されているかと思います。でも、パートやアルバイトで働く方は、社会保険料を控除されていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。法律改正により2022年10月から場合によっては加入対象となり、控除されることになるかもしれません。社会保険加入のメリット、デメリットなどを見ていきましょう。
2022年10月以降の加入対象者
- 正社員
- 週の所定労働時間及び、月の措定労働日数が、正社員の3/4以上であるパート&アルバイトの方
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない(休学中や夜間学生は加入対象となります。)
社会保険加入のデメリット
今回の加入対象者の方は、10月から社会保険に加入することとなるでしょう。加入すると保険料を控除されます。大まかにどれぐらい控除されるかは以下のとおりです。
- 大まかに給料支給額+交通費の15%程度
【例】
たとえば、時給1,100円の人で、月に110時間勤務する人だと給料支給額は121,000円/月とします。
それと、通勤交通費として10,000/月の人。
121,000円+10,000円=131,000×15%=19,650円→保険料合計
(細かく言えば標準報酬月額134千円と設定し、健康保険6,847円+介護保険1,099円+厚生年金12,261円(大阪))
家計に大打撃ですね‥ 大変!! ただし、保険加入のメリットもあるので以下で確認してみましょう。
社会保険加入のメリット
健康保険
もしもの時、傷病手当金を受給できる
「もしも」の時に心強い手当金となることでしょう。ただし、任意継続被保険者、扶養の方へは傷病手当金は支給されません。
出産時に出産手当金を受給できる
退職後の支給の場合、退職前の健康保険加入期間が1年未満は支給されません。
厚生年金
老齢厚生年金
年金制度は2階建て。つまり、国民年金の上に厚生年金のあるイメージです。今回加入するのは2階部分の厚生年金です。1階の国民年金は、20歳以上60歳未満の大半の方は加入しているのではないだろうか。加入すると月々の年金保険料は必要だけど、老齢受給額は増える。
勤続年数(厚生年金加入)×標準報酬月額の平均×0.005481=年間受給額
(おおよそです。平成15年3月以前は数字が違います。)
1ヶ月以上の加入で受給資格有。(ただし、国民年金を10年以上かけていなければならない。)
遺族厚生年金
遺族厚生年金は受給範囲は拡大し、受給額もアップすることとなる。簡単な比較は以下の通りです。死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族厚生年金の遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ることができます。なお遺族基礎年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できます。
遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 |
---|---|
子のある配偶者 子(18歳になった年度末までの方、または20歳未満&障害年金の障害等級1級or2級) 諸条件はあります。 | ※順位は遺族の優先順位 1位 妻 1位 夫(死亡当時に55歳以上) 2位 子(18歳になった年度末までの方、または20歳未満&障害年金の障害等級1級or2級) 3位 父母(死亡当時に55歳以上) 4位 孫(18歳になった年度末までの方、または20歳未満&障害年金の障害等級1級or2級) 5位 祖父母(死亡当時に55歳以上) 諸条件はあります。 |
- 死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額です。
身の老齢厚生(退職共済)年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し、高い方の額が遺族厚生年金の額となります。
- 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したときの遺族厚生年金の場合
障害年金
障害を負った場合、障害年金の給付額が増えます。加入中に障害等級1・2級となった場合、300月分の給付を確保しています。3級より軽い場合、国民年金のみだと障害年金の支給を受けることはできません。厚生年金に加入をすると、障害年金または、障害手当金(一時金)の支給を受けられます。
ダブルワークの方の保険料の考え方
ダブルワークの方で双方の会社で加入条件を満たす人は、双方の会社で社会保険に加入をしなければなりません。ダブルワークを黙っている人もいらっしゃると思いますが、社会保険に加入すると双方の会社にばれてしまいますので、今のうちに双方の会社に知らせておきましょう。
ダブルワークの人は副業で社会保険に加入すると、本業の事業所へ通知されます。
①事業所の報酬額を算出します。例えば241,231円とします。
②事業所の報酬額を算出します。例えば160,789円とします。
241,231+160,789=402,020円→標準報酬月額410,000
A事業所とB事業所で按分をします。年金事務所は各事業所から報酬月額の申請を受けているわけですから、事業所ごとに計算する必要はありません。年金事務所から通知されますので、その分を徴収しましょう。具体的な計算方法は以下のとおりです。
A事業所健康保険のみの計算方法。(厚生年金、介護保険も必要です。)
合算標準報酬月額410,000円×9.96%×①241,231円÷(①241,231円+②160,789円)=24,504円
上記の金額を会社負担分と従業員負担分で分けます。数式は以下のとおりです。
単体で加入していた時と比べて標準報酬月額は上がります。もし、業務外の病気や怪我で報酬を受けられない場合は傷病手当金を受給できます。単体で加入していた時より受給額は上がりますね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
2022年10月からの適用拡大で加入対象となり、給与の手取りの減る人は多いかと思います。メリット、デメリットを理解して進めていきましょう。それでは!!
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